毒入りチョコレート事件 アントニイ・バークリー

あらすじ

ある男性に届いたチョコレート。そのチョコレートを友人が持ち帰り、家で妻とともに食べた。
夫は気分が悪くなるが助かった。
しかし、妻は死んでしまった。
この事件をシェリンガムを含む六人の人間がそれぞれ調査し、推理を披露する。

紹介

OO版毒チョコ。
なんていうのはちょっとミステリを読んでれば出会うことがあるだろう。
ちょっと前に書いた聯愁殺もこの形態の作品。
ここでいう毒チョコというのは、数人の人間がそれぞれ推理を述べる事によって進展していくストーリー。
だから煽り文句として、全編推理からなるミステリ!
なんて言われたりもする。
そんな作品達の大元がこれ。

感想

紹介で書いたように、これが衝撃的な作品なのはわかるんだけど。
内容だけを取り出せて考えると、傑作!
と無条件でいう気持ちにはなれなかった。
読んで、どういうことをやろうとしたのかみたいなことを考えてみると、ははあこういう事をやってるんだな。面白いなあ。
とはなるんだけど、やっぱりvv_aはストレートに面白い作品の方がいいのです。
そんなわけで、どちらかというとミステリをある程度読んでる人が、こんなことやってるのかなんて読むのがいいんじゃないかと思います。
ミステリ読みじゃない人でも、面白さを感じるかもしれませんが。
vv_aがミステリ好きじゃなかったら、面白さを感じられなかったと思う。

構造

全編推理から構成されているというものの、普通のミステリで最後に探偵が示すような推理とはちょっと意味が異なる。
というのも読者には手掛かりは与えられず、推理者がそれぞれ独自に調査した材料を元に推理を提示する。
だから、どうしても手掛かりと推理がほぼ同時に与えられる事になる。
どちらかというと、推理の形をした捜査というのがvv_aの受けた印象。
それがvv_aにはどうもね。
趣向という点を重視して考えるなら当然の大傑作。